書籍名 |
浜松医大流 エビデンスに基づく精神療法実践集 |
出版社 |
金芳堂
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発行日 |
2015-04-20 |
著者 |
- 森則夫(編著)
杉山登志郎(編著)
和久田智靖(編著)
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ISBN |
9784765316354 |
ページ数 |
281 |
版刷巻号 |
第1版第1刷 |
分野 |
|
閲覧制限 |
未契約 |
第1編で精神療法の基本原理、第2編で精神障害の種類ごとに症例を挙げる。症例の紹介においては、患者に施した療法の内容が事細かに記されており、治療のプロセスをたどることができる。発達障害や摂食障害など、精神科臨床において近年増加している疾患には薬物療法のみでは治療には不十分なものが多く、行動療法や認知療法などの「精神療法」の必要性が高まっている。また、医師だけではなく臨床心理士の活躍も求められており、臨床心理士の国家資格化が議論されていることも社会のニーズを反映しているが、臨床心理士に対する指導・研修の体制は十分に整っているとはいえない。この本では浜松医科大学での精神療法の実践を紹介した。臨床心理士が精神療法について述べ、主治医が精神医学的立場から解説する、というスタイルをとっているが、このような精神療法の実践集は少なくとも我が国では前例がないと思われる。心理士・精神科医などがすぐにでも臨床に活用できることを願っている。
目次
- 表紙
- 執筆者一覧
- 本書を利用する方へ
- 目次
- 第1編 精神療法の基本原理
- 1. カウンセリングと精神療法 ( 心理療法 )
- 2. 主な精神療法
- 3. 精神療法はどこに効くのか
- 4. 神経症の成り立ち
- 5. 行動療法の考え方
- 6. 森田療法の考え方
- 7. 認知療法の考え方
- 8. EMDRの考え方
- 9. おわりに
- 第2編 精神療法の実践
- 1章 強迫症 / 強迫性障害
- 1. 症状ディメンションが多岐にわたり, 汚染を主とする重症強迫症に対する森田療法 - 曝露反応妨害法との併用によるアプローチ -
- 2. 傷害・攻撃性のディメンションの強迫症に対する森田療法的アプローチと曝露反応妨害法の併用療法
- 3. 家族への介入および森田療法的なアプローチが功を奏した強迫症
- 4. 症状のモニタリングとその振り返りで改善した症例
- 5. モデリングや時間制限などの行動療法と森田療法を併用し改善した症例
- 解説 強迫症の精神療法
- 2章 うつ病 ( DSM - 5 ) / 大うつ病性障害
- 1. 認知モデルから効果的な問題解決の方向を探り改善した症例
- 2. うつ病 ( DSM - 5 ) に対する認知行動療法 - 高い理想の修正が有効であった症例 -
- 解説 うつ病の精神療法
- 3章 持続性抑うつ障害 ( 気分変調症 )
- 1. 持続性抑うつ障害の森田療法で典型的な治療経過を示した症例
- 2. 持続性抑うつ障害に対して, 行動活性化療法が有効であった一例
- 解説 遷延化した抑うつ状態 ( 主に遷延化したうつ病や持続性抑うつ障害 ) に対する森田療法
- 4章 パニック症 / パニック障害
- 1. パニック症の森田療法で典型的な治療経過を示した症例
- 2. 未熟な問題解決スキルが現実適応を困難にしていたパニック症の症例
- 解説 パニック症に対する精神療法
- 5章 社交不安症 / 社交不安障害
- 1. 社交恐怖の森田療法で典型的な経過を示した症例
- 2. 社交不安症の認知行動療法
- 解説1 社交不安症に対する精神療法
- 解説2 社交不安症の認知行動療法
- 6章 摂食障害
- 1. 思春期発症の神経性やせ症の一例
- 2. 慢性化した神経性やせ症の症例
- 3. 神経性過食症の症例
- 解説 摂食障害の精神療法
- 7章 境界性パーソナリティ障害
- 1. 境界性パーソナリティ障害に対して認知行動療法とEMDRを併用した症例
- 解説 境界性パーソナリティ障害の精神療法
- 8章 解離性同一症 / 解離性同一性障害
- 9章 自閉スペクトラム症 / 自閉症スペクトラム障害
- 1. 母親へペアレントトレーニングを実施し, トークンエコノミーを併用したことで子どもの行動改善が認められた事例
- 2. 自閉スペクトラム症から二次的に抑うつと不安を呈した症例
- 解説 自閉スペクトラム症に対する認知行動療法と森田療法
- 索引
- 奥付
参考文献
第2編 精神療法の実践
P.27 掲載の参考文献
-
1) 飯倉康郎 : 強迫性障害の治療ガイド. 二弊社, 大阪, 1999.
-
2) 上島国利編 : エキスパートによる強迫性障害 (OCD) 治療ブック. 星和書店, 東京, 2010.
-
3) 久保田幹子 : 外来森田療法IV (強迫性障害). 北西憲二・中村敬編著 : 心理療法プリマーズ 森田療法. 230-245, ミネルヴァ書房, 京都, 2005.
P.50 掲載の参考文献
-
1) 北西憲二 : 森田療法の基本理論. 北西憲二, 中村敬編著 : 心理療法プリマーズ 森田療法. 20-39, ミネルヴァ書房, 京都, 2005.
P.59 掲載の参考文献
-
1) 飯倉康郎 : 強迫性障害の治療ガイド. 二弊社, 東京, 1999.
-
2) 松永寿人 : 強迫性障害の現在とこれから DSM-5に向けた今後の動向をふまえて. 精神神経学雑誌 114 (9) : 1023-1030, 2012.
-
3) 森田正馬 : 神経質ノ本態及療法. 高良武久, 中川四郎, 大原健士郎編 : 森田正馬全集, 1. 283-442, 白揚舎, 東京, 1928/1974.
P.73 掲載の参考文献
-
1) 伊藤絵美 : 事例で学ぶ認知行動療法. 誠信書房, 東京, 2008.
P.84 掲載の参考文献
-
1) 伊藤絵美 : 事例で学ぶ認知行動療法. 誠信書房, 東京, 2008.
P.95 掲載の参考文献
-
1) 北西憲二 : うつ病患者への森田療法. 精神科治療学 17 (増刊号) : 220-226, 2002.
P.104 掲載の参考文献
-
1) マイケル・E・アディス, クリストファー・R・マーテル : うつを克服するための行動活性化練習帳 認知行動療法の新しい技法. 大野裕・岡本泰昌 (監訳) うつの行動活性化療法研究会 (訳) : 創元社, 大阪, 2012
P.116 掲載の参考文献
-
1) 星野良一, 田中純二, 渡辺知子他 : 浜松医科大学精神神経科における森田療法と治療成績.日本森田療法学会雑誌 17 (2) : 147-167, 2006.
-
2) 北西憲二監修 : 森田療法の全てがわかる本. 講談社, 東京, 2007.
-
3) 森田正馬. 新版 神経質の本態と療法. 白楊社, 東京, 2004.
-
4) 高良武久 : 森田療法のすすめ ノイローゼ克服法. 白楊社, 東京, 2000.
P.124 掲載の参考文献
-
1) 中村敬 : 森田療法の適用拡大と技法の修正. 臨床精神医学 32 (10) : 1153-1159, 2003.
-
2) 内村英幸 : 家族的治療構造. 内村英幸編・森田療法を超えて 神経質から境界例へ : 31-47, 金剛出版, 東京, 1992
P.136 掲載の参考文献
-
1) 星野良一, 他 : 浜松医科大学精神神経科における森田療法と治療成績. 日本森田療法学会雑誌 17 (2) : 147-167, 2006.
-
2) 葛西英二, 他 : 社会恐怖に対する森田療法の治療戦略の再検討. 日本森田療法学会雑誌 13 (2) : 141-146, 2002.
P.147 掲載の参考文献
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1) 吉永尚紀, 清水栄司 : 平成22〜24年度厚生労働科学研究費補助金 (こころの健康科学研究事業) 「精神療法の有効性の確立と普及に関する研究」総合研究報告書 (研究代表者 大野裕), Clark & Wells モデルに基づく社交不安障害の認知行動療法・治療者用マニュアル, pp108-129, 2013.
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2) Clark DM, et al : A cognitive model of social phobia. In : RG Heimberg, et al. (Eds.) Social Phobia : Diagnosis, Assessment and Treatment. New York : Guilford Press, pp69-93, 1995.
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3) Heimberg RG, et al : Psychometric Properties of the Liebowitz Anxiety Scale. Psychol Med 29 : 199-212, 1999.
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4) Kroenke K, et al : The PHQ-9 : Validity of a brief depression severity measure. Journal of General Internal Medicine 16 : 606-613, 2001.
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5) Spitzer RL, et al : A brief measure for assessing generalised anxiety disorder : The GAD-7. Archive of Internal Medicine 166 : 1092-1097, 2006.
P.153 掲載の参考文献
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1) Clark DM, Ehlers A : Workshop of Cognitive Behavior Therapy for Social Phobia and PTSD (丹野義彦編集・監訳 : 対人恐怖とPTSDへの認知行動療法 ワークショップで身につける治療技法). 星和書店, 東京, pp1-65, 2008.
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2) Clark DM, et al : Cognitive therapy versus fluoxetine in generalized social phobia : a randomized placebo-controlled trial. J Consult Clin Psychol 71 (6) : 1058-1067, 2003.
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4) Yoshinaga N, et al : A preliminary study of individual cognitive behavior therapy for social anxiety disorder in Japanese clinical settings : A single-arm, open trial. BMC Res Notes 6 (74) : 2013.
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7) Heimberg RG, et al : Psychometric Properties of the Liebowitz Anxiety Scale. Psychol Med 29 : 199-212, 1999.
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8) 清水栄司 : 社交不安障害の認知行動療法. 分子精神医学 12 : 250-253, 2012.
P.166 掲載の参考文献
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1) 松丸未来, 他 : 子どもと若者のための認知行動療法ワークブック−上手に考え, 気分はすっきり. 金剛出版, 東京, 2010.
P.185 掲載の参考文献
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1) 下坂幸三 : 過食症に対する外来精神療法の原則. 精神科治療学 8 (4) : 389-397, 1993.
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2) 中村愛, 他 : 神経性大食症に対する森田療法の有用性. 森田療法学会誌 13 (2) : 147-153, 2002.
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3) 久保田幹子, 中村敬 : 拒食と過食の森田療法. こころの科学 112 : 47-52, 2003.
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4) 西園マーハ文 : 競争社会と摂食障害. 精神科治療学 15 (11) : 1151-1157, 2000.
P.197 掲載の参考文献
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2) Minnesota Starvation Experiment : http://en.wikipedia.org/wiki/Minnesota_Starvation_Experiment (Wikipediaより)
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4) 鈴木眞里, 小原千郷 : 拒食症の家族教室[DVD資料]http://www3.grips.ac.jp/~eatfamily/dvd1.html
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6) American Psychiatric Association (APA) : Practice guideline for the treatment of patients with eating disorders. 3rd ed, Washington (DC), 2006.
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8) 栗田大輔, 森則夫 : 精神科医もできる! -拒食症身体治療マニュアル. 金芳堂, 2014.
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3) Shapiro F : Eye movement desensitization and reprocessing : basic principles, protocols, and procedures 2nd ed. 2001. (市井雅哉監訳 : EMDR : 外傷記憶を処理する心理療法. 二瓶社, 2004. )
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4) Watkins JG , Watkins HH : Ego states-theory and therapy. W W Norton & Colnc Inc, New York, 1997.
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5) 白川美也子 : EMDR と自我状態療法. EMDR研究 2 : 13-26, 2010.
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6) Paulsem S : Looking through the eyes of trauma and dissociation. Booksurge Publication, Charlston, 2009. (新井陽子, 岡田太陽監修, 黒田由美訳 : トラウマと解離症状の治療-EMDRを活用した新しい自我状態療法. 東京書籍, 2012. )
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7) Putnam FW : Dissociation in children and adolescents. Guilford Press, New York, 1997. (中井久夫訳 : 解離-若年期における病理と治療, みすず書房, 2001.)
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8) 杉山登志郎, 海野千畝子 : 子ども虐待による解離性障害への治療. 精神療法 33-2 : 157-163, 2007.
P.266 掲載の参考文献
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1) 杉山登志郎 : 発達障害の子どもたち. 講談社, 東京, pp181-192, 2007.
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2) Chamberlain, et al : Comparison of two community alternatives to incarceration for chronic juvenile offenders. J Consult Clin Psychol 66 (4) : 624-633, 1998.
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3) 東誠 : 児童精神科臨床から成人期臨床に求めるもの-医療的視点から-. 臨床精神医学 37 (12) : 1571-1579, 2008.
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5) http://www.mcf.gov.bc.ca/childcare/subsidy_promo.htm, 2014/03/28
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6) 葛西英二, 他 : 社会恐怖に対する森田療法の治療戦略の再検討. 日本森田療法学会雑誌 13 : 141-146, 2002.