書籍名 |
MINOR TEXTBOOK 精神医学 第12版 |
出版社 |
金芳堂
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発行日 |
2013-05-30 |
著者 |
- 加藤伸勝(著)
福居顯二(改訂編集)
谷直介(改訂編集)
井上和臣(改訂編集)
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ISBN |
9784765315715 |
ページ数 |
434 |
版刷巻号 |
改訂第12版第1刷 |
分野 |
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シリーズ |
MINOR TEXTBOOK
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閲覧制限 |
未契約 |
一般的に精神医学は理解困難な学科の一つと考えられがちである。事実、精神医学は方法論的に自然科学的方法のみでは説明し尽くされないところがあり、心理学的・社会学的な文化科学的方法の助けも借りなければならない。そこで本書は充分に理解できない哲学的・心理学的事項やそれらの理論的記述はできるだけ避け、臨床的事実の記載を中心に臨床の実際に役立つように記述、無駄を省き習得すべき知識を整理し重点詳述主義に徹している。今回の改訂では、単著であった本書についてそれぞれの項目にあった執筆者を選び大幅に全体を見直して最新の知見が盛り込んだ。一方で、今や必要ではないと思われるドイツ語を省き、あまりに詳細な部分も省き無駄をなくした。また、ICD-10だけでなくDSM-IVを用いてわかりやすく解説した。
目次
- 表紙
- 執筆者一覧
- 第十二版の序
- 第十一版の序
- 第十版の序
- 第九版の序
- 第八版の序
- 第七版の序
- 第六版の序
- 第五版の序
- 第四版の序
- 第三版の序
- 再版に当って
- 初版まえがき
- 目次
- I. 総論
- 1章 序論
- [1] 精神医学の対象と歴史
- [2] 精神医学における疾患概念
- 2章 精神疾患の原因と分類
- [1] 精神疾患 ( 障害 ) の原因論
- 1. 素因と遺伝 ( 内因 ) について
- 2. 身体因について
- 3. 反応因 ( 心因 ) について
- 4. 社会 ( 環境 ) 因, 状況因について
- 5. 精神疾患 ( 障害 ) と年齢, 性, 人種
- [2] 精神疾患の分類
- [3] 各年代による精神疾患
- 1. 心の発達とライフサイクルについて
- 2. ライフサイクルと精神疾患
- 3. 各時期で特徴的な精神疾患
- 4. 各時期により異なる特徴を持つ精神疾患
- 3章 症状と症候
- [1] 精神症状
- 1. 患者の表出面から得られる精神症状
- A. 外観・態度の異常
- B. 行動・言語の異常
- C. 記憶と知能の異常
- 2. 患者の体験から得られる精神症状
- A. 対象意識の異常
- B. 身体意識の異常
- C. 自我意識の異常
- D. 時間および空間体験の異常
- E. 思考の異常
- F. 意欲と感情の異常
- 3. 患者の全体像から得られる精神症状
- A. 意識の異常
- B. パーソナリティ ( 人格 ) の異常
- [2] 精神状態 ( 症候群 ) および神経心理学的症候群
- 1. 精神状態像または精神症候群
- A. 神経衰弱状態
- B. 幻覚妄想状態
- C. 減動多動状態
- D. 錯乱状態
- E. 記憶減退状態
- F. 残遺状態
- G. その他の精神症候群
- 2. 神経心理学的症候群
- A. 失語
- B. 失行
- C. 失認
- D. 広義の巣症状としての脳局所性神経精神症候群
- [3] 身体症状
- 1. 身体の外観および体表面の異常
- 2. 検査などによって確かめられる異常
- 3. 精神疾患 ( 障害 ) と関係深い神経症状
- II. 各論
- 1章 症状性を含む器質性精神障害
- [1] 認知症
- 1. アルツハイマー型認知症
- A. アルツハイマー型認知症 ( 早発性 )
- B. アルツハイマー型認知症 ( 晩発性 )
- 2. ( 脳 ) 血管性認知症
- A. 急性発症の血管性認知症
- B. 多発梗塞性認知症
- C. 皮質下血管性認知症
- 3. その他の認知症性疾患
- A. レビー小体型認知症
- B. ピック病
- C. クロイツフェルト・ヤコブ病
- D. その他
- [2] 身体因性精神障害
- 1. 症状性精神障害
- A. 症状性精神障害の精神症状
- B. 分類と症状
- C. 症状性精神障害の治療
- [3] 器質性精神障害
- 1. 感染による器質性精神障害
- A. 進行麻痺 ( 麻痺性認知症 )
- B. 各種脳炎
- 2. 外傷による器質性精神障害
- 3. 腫瘍, 血管損傷による器質性精神障害
- A. 脳腫瘍
- B. 脳血管障害
- C. その他の血管性障害による器質性精神障害
- 4. 変性, 代謝性疾患による器質性精神障害
- A. 錐体外路系疾患
- B. 肝脳疾患
- C. 脱髄性疾患
- 2章 精神作用物質による精神および行動の障害 ( 物質関連障害 )
- [1] 概念
- 1. 精神作用物質
- 2. 急性中毒
- 3. 有毒な使用, 乱用
- 4. 依存と離脱症状
- 5. 精神病性障害
- 6. 後遺症
- [2] アルコール関連精神障害
- 1. 急性アルコール中毒
- 2. 有害な使用, 乱用
- 3. アルコール依存症 ( 候群 )
- 4. アルコール離脱
- 5. アルコール精神病
- 6. アルコール性認知症, 健忘症, 残遺性パーソナリティ障害
- 7. 併存する精神疾患, 自殺
- 8. 治療
- [3] その他の物質依存
- 1. アヘン類
- 2. 大麻類
- 3. 睡眠導入剤, 抗不安薬
- 4. コカイン
- 5. 覚せい剤
- 6. 幻覚剤
- 7. ニコチン
- 8. 揮発性有機溶剤
- [4] 関連する法律
- 1. 麻薬及び向精神薬取締法
- 2. 覚せい剤取締法
- 3. 毒物及び劇物取締法
- 3章 統合失調症, 統合失調型障害および妄想性障害
- [1] 概念
- [2] 歴史
- [3] 疫学
- [4] 原因
- 1. 遺伝素因
- 2. 環境因子
- 3. 生物学的背景
- A. ドパミン仮説
- B. グルタミン仮説
- C. 神経発達障害仮説, 神経変性仮説と進行性神経発達障害仮説
- [5] 症状
- 1. 基本障害
- 2. 意志・欲動の障害
- 3. 感情の障害
- 4. 思考の障害
- 5. 知覚の障害
- 6. 自我意識障害
- 7. その他の症状
- [6] 病型分類
- 1. 解体型または破瓜型
- 2. 緊張型
- 3. 妄想型
- 4. 鑑別不能型と残遺型
- [7] 診断
- [8] 治療
- 1. 薬物療法
- A. 薬剤の種類
- B. 薬物療法のアルゴリズム
- C. コンプライアンスからアドヒアランス, コンコーダンスへ
- D. 薬物療法以外の身体治療
- 2. 精神療法, リハビリテーション
- 3. 各種治療とその効果
- [9] 経過と予後
- [10] 近縁疾患
- 1. 妄想性障害
- 2. 急性一過性精神病性障害
- 3. 統合失調感情障害
- 4章 気分障害 ( 感情障害 )
- [1] 概念の変遷
- [2] 疫学
- [3] 成因
- 1. 生物学的要因
- A. モノアミン欠乏仮説
- B. モノアミン受容体感受性亢進仮説
- C. 細胞内情報伝達機能障害仮説
- D. 神経内分泌障害仮説
- 2. 心理社会学的要因
- [4] 症状
- 1. 躁状態
- 2. うつ状態 ( 大うつ病エピソード )
- [5] 診断と病型
- 1. 従来診断
- 2. 操作的診断
- A. 躁病エピソードと双極性障害
- B. うつ病性エピソード
- C. 他の種々のうつ病像
- D. 評価尺度
- [6] 経過と予後
- [7] 治療
- 1. 薬物療法
- A. 抗精神病薬
- B. 抗うつ薬
- C. 精神賦活薬
- D. 抗躁薬および気分安定剤
- E. その他の賦活薬
- 2. 広義の精神療法
- A. 支持的精神療法
- B. 認知療法
- C. 対人関係療法
- [8] 最近のうつ病像の変化と治療の方向性
- 1. 身体症状の増加
- 2. 病前性格の変化
- 3. 双極性スペクトラム
- 4. 軽症うつ病
- [9] 非定型精神病
- 5章 神経症性障害, ストレス関連障害および身体表現性障害
- [1] 定義
- [2] 神経症性障害の分類
- [3] 神経症の力動精神医学的解釈
- [4] 臨床的類型
- 1. 恐怖症性不安障害
- 2. 他の不安障害
- 3. 強迫性障害
- 4. 重度ストレス反応および適応障害
- 5. 解離性 ( 転換性 ) 障害
- 6. 身体表現性障害
- 7. 他の神経症性障害
- [5] 神経症性障害一般の治療
- 6章 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
- [1] 摂食障害
- [2] 睡眠障害
- 1. 睡眠障害とは
- 2. 睡眠障害の診断
- 3. 睡眠障害の治療
- 7章 成人のパーソナリティおよび行動の障害
- [1] パーソナリティ障害
- 1. パーソナリティ ( 人格 ) 障害の定義
- 2. 成因
- 3. 特徴と類型
- A. Schneider Kの類型
- B. その他の類型
- C. 類型の関連性
- 4. パーソナリティ ( 人格 ) 障害の予後と治療
- [2] 成人の行動の障害
- 1. 性心理障害
- 2. 習慣と衝動障害
- 3. 虚偽性障害
- 8章 精神遅滞 ( 知的障害 )
- [1] 緒言
- [2] 疫学
- [3] 病因
- 1. 遺伝的素因
- A. 染色体異常症候群
- B. 先天性代謝異常症
- C. その他
- 2. 出生前要因
- 3. 周産期要因
- 4. 小児期の後天性の障害
- 5. 環境的・社会文化的要因
- [4] 診断
- [5] 治療と支援
- [6] 本人への支援
- [7] 家族支援
- [8] 薬物療法
- 9章 心理的発達障害
- [1] 自閉性障害
- [2] アスペルガー障害
- [3] レット障害
- [4] 小児期崩壊性障害
- 10章 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害
- [1] 注意欠陥および破壊的行動障害
- [2] 児童の神経症性障害と心因反応
- 1. 児童期の情動障害
- 2. 児童期の哺育, 摂食障害
- 3. その他の障害
- [3] 児童期精神疾患 ( 障害 ) の診断と治療
- 11章 心身症
- 12章 てんかん
- [1] 原因と定義
- [2] 発作型の分類
- 1. 部分発作
- 2. 全般 ( 性 ) 発作
- A. 欠伸発作
- B. ミオクロニー発作
- C. 強直間代発作
- D. 脱力発作, 無動発作, 失立発作
- [3] 分類
- 1. 局在関連性てんかん
- A. 特発性局在関連てんかん
- B. 症候性局在関連てんかん
- 2. 全般てんかんおよび症候群
- A. 特発性全般てんかん
- B. 潜因性もしくは症候性てんかん
- C. 症候性全般てんかん
- 3. 焦点性か全般性か決定できないてんかんおよび症候群
- 4. 特殊症候群
- 5. その他の分類
- [4] てんかんに伴う精神症状
- 1. 挿間性精神病
- 2. 性格変化
- 3. てんかん性認知症
- [5] 診断と経過
- [6] 治療
- 1. 抗てんかん薬の種類
- 2. 発作型と抗てんかん薬の選択
- 13章 リエゾン精神医学
- [1] リエゾン精神医療
- [2] サイコオンコロジー
- 1. がん患者に生じる精神障害
- 2. がん患者の精神医学的問題への対応
- 3. 家族の心理的問題
- III. 精神医学的面接と検査
- 1章 精神医学的面接
- 2章 臨床心理テストと症状評価尺度
- [1] 発達検査
- A. 遠城式乳幼児分析的発達検査
- B. 新版K式発達検査
- [2] 知能検査
- A. ビネー式知能検査
- B. ウェクスラー式知能検査
- [3] 性格検査
- 1. 質問紙法
- 2. 投影法
- A. ロールシャッハ・テスト
- B. 文章完成法テスト
- C. 絵画欲求不満テスト
- D. 描画テスト
- 3. 作業検査法
- [4] 神経心理検査
- 1. スクリーニング検査
- 2. 記憶
- A. 三宅式記銘力検査
- B. ウェクスラー記憶検査
- C. リバーミード行動記憶検査
- 3. 失語
- 4. 視知覚
- 5. 前頭葉検査
- [5] 症状評価尺度
- 3章 臨床検査法
- [1] 脳波検査
- 1. 記録法
- 2. 脳波所見の基本
- 3. 脳波の分類
- 4. 正常脳波
- 5. 異常 ( 脳 ) 波
- [2] 事象関連電位
- [3] 脳磁図検査
- [4] 筋電図検査
- [5] その他の生理学的検査
- [6] 脳画像検査
- 1. 頭蓋写
- 2. 同位元素診断法
- 3. コンピュータ断層撮影法
- 4. MRIとPET
- [7] 体液検査法
- 1. 髄液検査
- A. 髄液採取
- B. 外観
- C. 細胞数
- D. 化学的検査
- 2. 血液および尿検査, 内分泌検査
- IV. 治療
- 1章 薬物療法
- [1] 抗精神病薬
- 1. 定型 ( 従来型 ) 抗精神病薬
- A. phenothiazine誘導体
- B. butyrophenone誘導体
- C. iminodibenzyl系化合物
- D. benzamide系化合物
- E. その他
- 2. 非定型 ( 新規 ) 抗精神病薬
- [2] 抗不安薬
- 1. benzodiazepine誘導体
- 2. 5 - HT1A受容体作動性抗不安薬
- 3. その他
- [3] 抗うつ薬
- 1. 三環系抗うつ薬
- 2. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
- 3. セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
- 4. ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
- [4] 抗パーキンソン薬
- [5] 精神賦活薬
- [6] 催 ( 睡 ) 眠薬, 鎮静薬
- 1. barbiturate系催 ( 睡 ) 眠薬
- 2. urea系催 ( 睡 ) 眠薬
- 3. 非barbitur酸系
- 4. benzodiazepine誘導体
- 5. その他
- [7] 抗てんかん薬
- [8] 抗躁薬
- 2章 その他の身体療法 ( 電気けいれん療法など )
- [1] 電気けいれん療法
- [2] 反復性経頭蓋磁気刺激療法
- [3] その他
- 3章 精神療法
- [1] 個人精神療法
- 1. 支持的精神療法
- 2. 精神分析療法
- A. 標準型精神分析
- B. 精神分析的精神療法
- C. 短期 ( 力動的 ) 精神療法
- 3. その他の個人精神療法
- A. 遊戯療法
- B. 箱庭療法
- C. 芸術療法
- D. 来談者 ( クライエント ) 中心療法
- E. 催眠療法
- F. 自律訓練法
- [2] 家族療法
- 1. 精神分析的家族療法
- 2. 心理教育的アプローチ
- 3. システム論に基づいた家族療法
- [3] 認知行動療法
- [4] 対人関係療法
- [5] 動機づけ面接法
- [6] 森田療法・内観療法
- [7] 集団精神療法
- 4章 精神科リハビリテーションと地域精神医療
- [1] 社会療法
- 1. 生活療法
- A. 生活指導
- B. レクリエーション療法
- C. 作業療法
- 2. 社会生活技能訓練
- 3. 社会復帰
- [2] 地域精神医療
- [3] 外来通院医療と救急医療
- 1. 外来通院医療と救急医療
- 2. 入院治療と外来治療
- 3. アウトリーチ, 包括型地域生活支援
- V. 精神保健 ( メンタルヘルス ) と法律
- 1章 精神保健 ( メンタルヘルス ) と社会
- [1] 精神保健 ( メンタルヘルス ) またはこころの健康増進, および予防精神医学
- 1. 精神保健の課題
- 2. 精神保健福祉法の内容
- 3. 児童福祉法および知的障害者福祉法
- [2] 精神保健の新たな課題
- 1. 「うつ」の時代
- 2. 精神「疾患」以外のメンタルヘルス不全
- [3] 不登校, ひきこもり, DV, 児童虐待
- 1. 不登校・ひきこもり
- A. 不登校
- B. ひきこもり
- C. 不登校・ひきこもりの心理
- D. 不登校・ひきこもりの支援
- 2. DV ( 夫婦間暴力 )
- A. DVの分類・心理的特徴
- B. DV被害者の治療・支援
- C. DV加害者の治療・支援
- 3. 児童虐待
- A. 児童虐待の分類・心理特徴
- B. 虐待加害者の治療・対応
- C. 虐待被害児の症状と治療・支援
- 2章 精神医療と法律
- [1] 精神医療と法律
- 1. 精神保健福祉法
- 2. 児童福祉法および知的障害者福祉法
- 3. 母体保護法
- 4. 薬物関係取締法
- 5. 各種の身分法
- 6. 司法精神医学
- 7. 精神疾患 ( 障害 ) 者の人権
- 付表1 精神および行動の障害の国際分類 ICD - 10
- 付表2 DSM - IV - TR ( 2000 ) の精神疾患の分類
- 日本語索引
- 外国語索引
- 奥付
参考文献
III. 精神医学的面接と検査
P.273 掲載の参考文献
-
加藤伸司・下垣光・小野寺敦志, 他. 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の作成. 老年精神医学雑誌 2, 1339-1347. 1991.
P.276 掲載の参考文献
-
福田一彦, 小林重雄. SDS自己評価式抑うつ性尺度(使用手引き), 1983, 三京房.
P.277 掲載の参考文献
-
朝倉聡, 井上誠士郎, 佐々木幸哉, 他 : Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)日本語版の信頼性及び妥当性の検討. 精神医学, 44:1077-1084, 2002