書籍詳細
未契約
書籍名 | 子どものこころの医学 |
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出版社 | 金芳堂 |
発行日 | 2014-07-01 |
著者 |
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ISBN | 9784765316095 |
ページ数 | 284 |
版刷巻号 | 第1版第1刷 |
分野 |
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閲覧制限 | 未契約 |
語らない子どもたち,こころを閉ざす子どもたちをいかに理解して支援するか,その切り口が見える!近年,子どものこころの問題は,価値観が多様に広がり様々なところで取り上げられ,国民の関心は高いが,大人たちはその子どもたちを理解し難い現状に戸惑っている.本書は,医療,教育,福祉等の分野においてそれぞれの臨床現場で子どもと向き合うスペシャリストが,子どものこころに焦点を当て子どもたちの現状とその対応策を解説した.まずは子どもたちを知ってもらい,子どもに関する素朴な疑問に答え,対応・対処の仕方を解説する構成になっている.4部構成で1部では学校,社会,家庭での子どものこころ,2部では子どもの対応の仕方,3部でその予防と治療を記述,最後の4部では外国における取り組み(英国の例)も紹介した.親として子どもへの対応,学校へ行かなくなる子ども,いじめや体罰はどういうことか,子どもの自殺とは何か,子どもの虐待,落ち着かない子どもの対応,やせ症,うつ病,薬物療法,こころのケア,ペアレント・トレーニングや怒りのコントロールなど,わかりやすく解説している.執筆者の貴重な臨床経験から導き出された内容から,子どもたちのこころの問題解決の糸口が見えてくる.医療,教育,福祉に携わる専門家や,またその専門家をめざす人たちにお薦めする.
目次
- 表紙
- 執筆者一覧
- 序i閲覧
- 目次iii閲覧
- I 学校, 社会, 家庭でゆらぐ子どものこころP.1閲覧
- 1 子どものこころ, こころの発達とは何か
- <1> こころの発達
- (1) こころの発達とは何か
- (2) こころの発達と相互作用
- (3) こころの発達の総体的理解に向けて
- <2> こころの発達を考える際の視点
- (1) 普遍性と個別性
- (2) 連続性と不連続性
- (3) 適応・不適応と意味理解
- (4) システムの破壊と再構築
- (5) 進展・停滞・退行・衰退・発達コースからの逸脱と創造
- <3> 子どものこころの特徴
- <4> こころの発達 : 特に自己の組織化に向けて
- Topics 映し返し機能
- 2 親は子どものこころにどのように対応していけばよいのか
- はじめに
- <1> 小さな子どもに必要なもの
- <2> 両親の育った環境
- <3> 親になること
- <4>「基本的な安心感」とは
- <5>「安全基地」としての親
- <6> 無条件の愛
- <7> 日本の母親はお節介 ?
- <8> 子どもが自発的に楽しむことを見つけるために
- Column 「愛された記憶」の大切さ
- おわりに
- 3 学校に行かないとはどういうことなのか, どうすればよいのか
- はじめに
- <1> 不登校を巡る現状
- (1) 不登校の実態
- (2) 自立を難しくする不登校経験
- <2> 不登校が起こりやすい環境
- (1) 環境の変化と適応不安
- (2) 自尊感情を低下させる環境からの要請や課題
- <3> 予防的支援
- (1) 個人や環境に潜む問題を把握する
- (2) 不登校意識と子どものQOLとの関連
- <4> すべての子どもを対象にした支援
- 4 いじめにどのように対応していけばよいのか
- <1> わが国のいじめを巡る実情
- (1) いじめ防止対策推進法の成立
- (2) いじめに関する事件と対応
- <2> いじめに関する研究
- (1) 諸外国のいじめ研究
- Column いじめ予防プログラムの実際
- <3> 学校安全調査
- <4> まとめ - いじめにどのように対応していけばよいのか -
- (1) 科学的根拠に基づくこと
- (2) 対象はいじめに関係する一握りの子どもではなく, 全員であること
- (3) 大人が鍵を握っていること
- Column いじめを防止するヒント
- 5 体罰についてどのように対応したらよいのか
- はじめに
- <1> 体罰に関する実態調査
- <2> 教育と体罰
- (1) 教育における体罰
- (2) 文部科学省の対応
- (3) 体罰の定義
- (4) 体罰の悪影響・弊害
- <3> 部活動と体罰
- (1) 部活動における体罰
- (2) 生き方を教える
- (3) 勝利至上主義
- (4) 勝利至上主義の背景
- <4> 指導手段としての体罰
- (1) なぜ体罰が肯定されるのか
- (2) 体罰が容認される理由
- 6 子どもの自殺は防げるか
- はじめに
- <1> 子どもの自殺の統計
- <2> 子どもの自殺とはどのようなものか
- (1) 偶発性の事故
- (2) 遊びの延長上の事故
- (3) 養育環境に課題があることを推定させる事例
- (4) 子どもの衝動性や感受性と関わる事例
- <3> 事例特性から見た自殺の類型化
- (1) 偶発性の自殺
- (2) 遊びと現実の区別の不明確による自殺
- (3) 養育環境の問題
- (4) 個別の児童の持つ衝動性や感受性の高さ
- <4> 子どもの自傷行為と自殺の関係
- <5> いじめと自殺
- <6> 子どもの自殺は予見できるのか
- <7> 改めて子どもの自殺を防ぐ対策とは何か
- 7 子どもが自殺で亡くなった場合にどう対応すればよいのか
- はじめに
- <1> 遺された人たちに生じる心理反応
- (1) トラウマ反応
- Column 二次被害
- (2) 喪失と悲嘆
- Side Memo サバイバーズ・ギルト ( Survivor' s guilt )
- <2> 子どもを亡くした遺族のサポート
- (1) 遺族が置かれる状況
- (2) 遺族の心理
- (3) 基本的対応
- <3> 遺された子どもたちのこころを守る
- (1) 基本的対応
- (2) 事実の伝え方
- (3) ハイリスクな生徒のピックアップ
- (4) カウンセリングと心理教育
- (5) 喪の作業
- <4> 学校の対応
- (1) 情報の管理と共有
- (2) こころのケア計画の作成
- (3) 保護者への対応
- (4) 教職員へのサポート
- おわりに
- 8 福祉機関はどこまで子どものこころに対応できるか
- <1> 福祉機関にはどんなものがあるのか
- (1) 児童相談所
- (2) 家庭児童相談室・児童家庭支援センター
- (3) 保健所・保健センター
- (4) 療育機関
- (5) 児童の入所施設
- (6) 地域の末端に配置された児童委員
- (7) 要保護児童対策地域協議会
- <2> 児童相談所はどんなことができるか
- (1) 虐待相談
- (2) 養護相談 ( 虐待相談はこの中の一つ )
- (3) 非行相談
- (4) 育成相談
- (5) 障害相談
- <3> 児童発達支援センター ( 特に従来型の療育センター )
- <4> 児童相談所との連携
- Side Memo 連携の成功事例
- II 子どもへの対応をどうすればよいのかP.95閲覧
- 9 折れた子どものこころとはどのようになっているのか - 児童虐待による脳の変化 -
- はじめに
- <1> 性的虐待による視覚野の形態的変化
- <2> 暴言虐待による聴覚野の形態的変化
- <3> 厳格体罰による前頭前野の形態的変化
- <4> 両親間のDV曝露による視覚野への影響
- <5> 児童虐待ストレスと感受性期
- <6> 虐待の連鎖と医学的根拠
- <7> 「生態的表現型」という疾患概念
- 10 子ども虐待とは何か, どのように対応していけばよいのか
- はじめに
- <1> 虐待がもたらす影響とその特徴
- <2> 対応
- (1) 看護の視点
- (2) アセスメント ( 情報収集 )
- (3) 援助
- (4) 専門的な知識と視点
- 11 落ち着かない子どもたちへの対応はどうすればよいのか
- はじめに
- <1> 診断・評価
- <2> 自閉スペクトラム症との関係
- <3> 児童虐待および反応性愛着障害との併存・鑑別
- <4> 破壊的行動障害との併存・鑑別
- <5> 気分障害との併存・鑑別
- <6> 治療・支援
- (1) 薬物療法の適応
- (2) 具体的な支援の例
- おわりに
- 12 自閉症スペクトラムについては何がわかってきたのか
- <1> 自閉症スペクトラムの診断について
- (1) DSMとは
- (2) 自閉症スペクトラムの精神医学的診断
- (3) DSM - 5
- (4) DSM - 5の主な改訂 (1)
- (5) DSM - 5の主な改訂 (2)
- (6) DSM - 5の主な改訂 (3)
- <2> 自閉症スペクトラムの最新の研究
- (1) 診断補助について
- (2) 病態仮説
- 13 子どものやせ症についてどのように対応していけばよいのか
- はじめに
- <1> 摂食障害, 神経性無食欲症とは
- <2> 神経性無食欲症に特徴的な精神症状
- (1) 肥満恐怖とやせ願望
- (2) ボディイメージの障害
- (3) 病識の欠如
- (4) 自己評価の低さ
- (5) 強迫傾向
- (6) 抑うつ症状
- <3> 神経性無食欲症に特徴的な身体症状
- <4> 子どもの神経性無食欲症の特徴
- <5> 神経性無食欲症の治療
- <6> 神経性無食欲症の子どもの気持ちの変化
- <7> 周りの人々の対応について
- <8> 家族の対応について
- Column 摂食障害の世界の動向
- 14 子どものうつにはどのように対応したらよいのか
- <1> 子どものうつとはどのような状態か
- <2> うつ病はどんな病気か
- <3> 子どものうつ病はどんな特徴があるのか
- (1) 子どものうつ病は決して稀な病態ではない
- (2) 子どものうつ病の臨床的特徴は何か
- (3) 小児期うつ病と青年期うつ病の違いは何か
- <4> 子どものうつ病にはどのように対応したらよいか
- (1) 子どものうつ病に対する精神療法
- (2) 子どものうつ病に対する「5ステップ・アプローチ」
- <5> 子どものうつ病に対する薬物療法はどのように行うか
- (1) 子どものうつ病に有効な抗うつ薬は何か
- (2) 薬物療法はどのように行うか
- (3) SSRIの副作用はどのような症状か
- <6> 子どもの双極性障害とはどのようなものか
- 15 青少年の薬物問題について
- はじめに
- <1> 青少年の薬物汚染の実態
- <2> 脱法ドラッグによる青少年の汚染
- <3> 注意欠如・多動性障害 ( attention - deficit / hyperactivity disorder : ADHD ) と薬物依存の関連
- おわりに
- III 予防, 治療に向けてP.173閲覧
- 16 子どものこころは生まれてからどのように遅れを示すか
- はじめに
- Column Autism Spectrum Disorders ( ASD )
- <1> 正常な発達と発達の遅れとは
- <2> 出生コホート研究からうかがえるASD児の発達の軌跡
- (1) Hamamatsu Birth Cohort ( HBC ) Studyとは
- (2) 測定内容と解析
- (3) 結果
- (4) 考察
- <3> こころの発達にかかる予防と治療
- Topics 早期発見・早期介入の威力
- おわりに
- 17 子どものこころのひずみはどのようにあらわれてくるのか
- はじめに
- <1> 乳幼児期によくみられる精神障害
- (1) 哺育および摂食の障害
- (2) 睡眠障害
- (3) 愛着障害
- <2> 児童期によくみられる精神障害
- (1) 適応障害
- (2) 不安障害
- (3) 心身症と身体表現性障害
- <3> 思春期によくみられる精神障害
- (1) 摂食障害
- (2) 気分障害
- (3) 統合失調症
- おわりに
- 18 薬物療法
- <1> 薬物療法とは
- (1) 心理社会学的側面
- (2) 薬物動態学
- (3) 小児・思春期における処方の原則
- <2> 子どもの精神病に対する薬物療法
- (1) 第一世代抗精神病薬
- (2) 第二世代抗精神病薬
- (3) 治療期間
- (4) 感情障害による精神病状態に対する治療
- (5) 子どもの精神病症状に対する薬物療法のまとめ
- <3> 子どものうつ病
- (1) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 ( SSRI )
- (2) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ( SNRI )
- (3) 治療抵抗性うつ病
- <4> 子どもの双極性障害
- (1) 双極性障害に対する情動安定剤の単剤投与
- (2) 双極性障害に対する第二世代抗精神病薬の単独投与
- (3) 双極性障害に対する情動安定剤プラス抗精神病薬
- <5> 子どもの不安障害
- (1) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 ( SSRI )
- (2) 他の抗うつ薬
- (3) OCDの薬物治療
- <6> ADHD
- (1) 精神刺激薬
- (2) 非精神刺激薬
- <7> 広汎性発達障害の薬物療法
- (1) 抗精神病薬
- (2) 情動安定剤
- (3) 抗うつ薬
- 19 子どものこころをどのようにケアすればよいのか - 子どもの認知行動療法 -
- <1> 子どもの心理療法について
- <2> 認知行動療法について
- <3> CBTを子どもに適用する際の工夫
- <4> 養育者への介入
- おわりに
- 20 子どものこころへの対応 - ペアレント・トレーニング -
- <1> ペアレント・トレーニングとは
- <2> ペアレント・トレーニングの歴史
- <3> 発達障害児の保護者を対象としたペアレント・トレーニングのプログラム概要
- (1) 実施形態
- (2) 対象とする子どもの属性・障害種など
- (3) プログラム内容
- <4> ペアレント・トレーニング実施者として注意するべきこと
- <5> 自閉症スペクトラム障害を対象としたペアレント・トレーニング
- おわりに
- Column ペアレンティング
- 21 子どもの怒りのコントロールをどうするか
- <1> 怒りとは
- (1) 怒り感情による危険性
- (2) 怒りを扱う難しさへの対応
- <2> 認知行動療法による怒りのコントロール
- (1) 認知行動療法とは
- Column どうして怒ってしまうのだろう ?
- (2) 怒りのコントロールへの活用
- <3> 怒りのコントロールプログラムの実践例
- (1) 怒りについての心理教育と肯定的な気持ちの促進
- (2) 怒りのコントロールの基本形
- <4> 怒りと上手につき合っていこう
- IV 英国での対応P.245閲覧
- 22 イギリスにおける児童精神科医療について
- はじめに
- <1> CHAMSの4層構造 ( The four - tier structure )
- <2> Tier3 LYPSでの治療の流れ
- (1) 受付から治療方針の決定まで
- (2) 治療について
- (3) 治療後の流れ
- <3> イギリスCHAMSの最近の現状について
- (1) 入院治療について
- (2) 心理療法について
- Column 多文化の中で学ぶ児童精神医学
- おわりに
- 索引P.256閲覧
- 奥付