書籍名 |
加害者と被害者の“トラウマ”―PTSD理論は正しいか |
出版社 |
国書刊行会
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発行日 |
2011-09-10 |
著者 |
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ISBN |
9784336054210 |
ページ数 |
323 |
版刷巻号 |
初版第1刷 |
分野 |
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閲覧制限 |
未契約 |
人間はPTSD(外傷後ストレス障害)理論が考えるよりも強靱であり、強いストレス状況でこそ、人格は向上する。ストレス理論を基板としたPTSD理論を、豊富な資料を用いて検討。政治的背景の中で成立したPTSD理論は一体何を避けているのか?豊富な資料と著者長年の臨床経験に裏打ちされたPTSD理論批判!!ストレスこそ人間を強くする。
目次
- 表紙
- はじめに
- 目次
- 図表目次
- 第1章 PTSD理論の根本的問題点
- PTSD理論と〈幸福否定〉
- 事実を明らかにすることの重み
- PTSD理論の弱点
- 正当な自己主張の難しさ
- 当事者の責任という問題
- 第2章 PTSD理論の内部構造
- PTSDの流行性と多様性
- 問題点の整理
- 伝統的な "虐待" と "先進国型" の虐待
- 被害が先か, 症状が先か
- 出来事の直後から起こる症状と, 時間を置いてから起こる症状
- 自然災害による被害と, 人災および犯罪による被害
- 虐待者との間柄 - 身内か, 見ず知らずの他人か
- 表2-1 加害者との間柄と性的虐待の記憶の有無
- 表2-2 虐待の内容と加害者の続柄
- 表2-3 年度別に見た最近の虐待者
- 正常反応と異常反応
- 本章のまとめ
- 第3章 PTSD理論の政治学
- 科学と政治学
- PTSD概念がDSMに導入されるまで
- その後も続く疑念
- リフトンのPTSD概念の不明瞭性
- PTSD理論の政治学の亀裂
- 第4章 PTSD理論の心理学 1 - 心身の反応が起こる原因
- ふつうの市民が戦場で残虐行為を引き起こす理由
- ミルグラムの貢献
- ミルグラムが浮き彫りにした, 権威に対する強い服従心
- 権威に反逆することに対する強い抵抗 - 主体性の否定
- 権威を積極的に権威たらしめようとする意志
- 第5章 PTSD理論の心理学 2 - 加害行為と "PTSD"
- 個人の責任という問題 - 再考
- 責任や反省を極度に回避する重罪犯
- 反省を忌避する理由
- 前章からのまとめと整理
- 表5-2 国府台陸軍病院に中国大陸から入院した精神障害患者の発病地別実数の年度別推移
- 加害行為と "PTSD" の関係
- 表5-3-1 加害者の "PTSD" に関する研究 1 - 統計的研究
- 表5-3-2 加害者の "PTSD" に関する研究 2 - 事例研究
- 図5-1 貴任の認識度と症状の関係を示す模式図
- ベトナム帰還兵の "PTSD"
- まとめ
- 第6章 PTSD理論が忌避するもの
- 心理的原因と精神科医
- 心理的原因の推定と確認
- 社会生活指導から小坂療法へ
- トラウマ理論から脱却した小坂理論
- 専門家たちの奇妙な反応
- 非専門家的抵抗の起源を探る
- PTSD理論と人間の主体性
- 第7章 ストレスに対する対応 - 被爆者を中心として
- 被爆者の体験
- 表7-1 戦闘後症候群におけるフラッシュバックの発生率の歴史的推移
- 本当のストレスに対する反応
- 表7-2 広島・長崎両市における被爆者・非被爆者の労働力の有無
- 強制収容所からの生還者たち
- 過酷なストレス状況の中で, 高みに達する人たち
- おわりに
- シェーマ
- 付録
- 付録1 DSM-IIIによるPTSDの定義
- 付録2 さまざまな反応の項目別整理
- 参考文献
- 索引
- 奥付