検索条件をクリア

書籍詳細

未契約
書籍名 においの感覚世界への招待 嗅覚系の分子神経生物学
出版社 フレグランスジャーナル社
発行日 2005-08-25
著者
  • 大瀧丈二(著)
ISBN 4894790939
ページ数 271
版刷巻号 第1版第1刷
分野
閲覧制限 未契約

嗅覚系の分子神経生物学は、いまや、分子生物学全体をリードしていく立場にあります。「科学は思想や感動を伴うべきである」という著者独自の持論により、科学史、さらに現代の分子神経生物学に至る歴史を概観しながら、分子神経生物学の最新の知見を紹介します。におい受容のメカニズムからにおい受容体発見の秘話まで、嗅覚世界の面白さを凝縮した一冊です。

目次

  • 表紙
  • 目次
  • はじめに
  • 第1章 自然科学における研究と教育の実態 - 科学社会学
    • 文化活動としての科学
    • 科学者は自然の神を崇拝する
    • 科学者は権威の崇拝者であることも多い
    • 基礎科学的知識は役に立たなくてもよい
    • 基礎科学的知識の価値はその楽しみにある
    • 科学者の社会的責任と社会的貢献
    • 現代科学者の生活
    • 科学のスタイルの変遷
    • 最近の業績評価
    • 真にクリエイティヴとは
    • 思想と歴史の重要性
  • 第2章 生物学の考え方 - 生物科学哲学
    P.25閲覧
    • 自然科学としての生物学
    • モデル生物の変遷
    • 実験系の限定
    • 生物学における還元論
    • 自然界の階層原理
    • 単一性と多様性
    • WHAT・HOW・WHYに答える
    • 生物学における科学革命
  • 第3章 量子仮説から構造生物学まで - 歴史的展望 (1)
    P.41閲覧
    • 歴史的理解の重要性
    • 古典物理学の世界
    • エネルギーという概念
    • プランクとアインシュタインによる量子論
    • ラザフォードとボーアの原子模型からド・ブロイの電子波まで
    • シュレーディンガー方程式とハイゼンベルグの不確定性原理
    • 量子力学は哲学的革命でもある
    • 量子化学の誕生
    • 量子化学から生体巨大分子へ
  • 第4章 分子神経生物学の誕生 - 歴史的展望 (2)
    P.57閲覧
    • ダーウィンとウォレスの進化論の誕生
    • メンデルの法則の発見と細胞学の発展
    • ミーシャーによる核酸の発見
    • アベリーの先駆的研究
    • ハーシーとチェイスの実験
    • シャルガフ則からワトソンとクリックの二重らせん構造まで
    • DNAの分子構造モデルをめぐる人間模様
    • ポーリングの分子病の概念
    • セントラル・ドグマの提唱
    • オペロン説の多大なインパクト
    • 分子生物学の独自性
    • 方法論としての分子生物学の発展
    • ホジキンとハクスレーの業績
    • 分子神経生物学の誕生
  • 第5章 分子神経生物学の基礎知識
    P.83閲覧
    • 生命現象の基本単位としての細胞
    • 細胞の起源 : 細胞膜と自己複製分子の共生
    • 原核細胞からの進化 : 細胞内共生説
    • 真核細胞の特徴としての膜構造
    • 細胞膜の分子構造
    • すべての生物は遺伝物質としてDNAを使っている
    • 蛋白質の構造と機能
    • 遺伝情報はDNA→RNA→蛋白質として発現される
    • 遺伝子組換えとクローニング
    • 遺伝子操作動物の作製
    • 遺伝子操作と生命倫理
    • 細胞内外のイオン分布の制御 : ナトリウム・ポンプ
    • 膜電位の発生機構
    • 膜電位の測定法
    • 神経細胞は情報伝達用の特殊な細胞
    • シナプスの構造と機能
    • フェロモンとホルモン
  • 第6章 感覚受容とその受容体分子
    P.113閲覧
    • 感覚研究の歴史的背景
    • 感覚世界の重要性
    • 感覚系の種類
    • 化学受容系としての嗅覚系
    • 受容体分子とは
    • 感覚受容体分子の種類
    • G蛋白質共役受容体の多様性
    • G蛋白質共役受容体を介した細胞内情報伝達経路
    • G蛋白質共役受容体の特性
    • G蛋白質のスイッチ機能
    • G蛋白質共役受容体の構造と機能の関係
    • イントロン不在、糖鎖の付加、ジスルフィド結合
    • G蛋白質共役受容体の分類
    • におい受容体分子のアミノ酸配列
    • におい受容体配列の偶然性と必然性
    • 感覚系に共通の特徴
    • 化学受容としての光受容
    • 網膜の組織構造
    • 味物質の受容 : におい物質の受容との比較
    • 味覚の受容の分子論
    • 嗅覚の単純さと複雑さ
    • 嗅覚系の順応と感度
  • 第7章 嗅覚系の組織と細胞
    P.141閲覧
    • におい認識の生物学的重要性
    • 嗅覚系は生殖活動に必須
    • 嗅覚系の分子神経生物学
    • 嗅上皮の組織・細胞レベルの構造
    • 嗅神経細胞の構造
    • 支持細胞の特徴
    • 基底細胞の特徴
    • 嗅球の組織・細胞レベルの構造
    • 嗅神経層・糸球体層の特徴
    • 外部叢状層・僧帽細胞層・内部叢状層の特徴
    • 顆粒細胞層・副内辺層の特徴
    • 嗅球からの出力を受ける嗅皮質
    • におい情報の伝達経路の概観
    • 副嗅覚系の機能
    • 鋤鼻器の構造
    • 副嗅球の構造
    • ヒトの副嗅覚系は存在するか
  • 第8章 におい受容の分子的基盤
    P.165閲覧
    • 嗅覚系における重要な問題
    • におい受容のしくみに関する仮説
    • におい受容体遺伝子のクローニング
    • 無脊椎動物のにおい受容体
    • 受容体分子を介しないしくみ
    • 哺乳類では一つの嗅神経細胞は一種の受容体のみを発現している
    • 嗅上皮と嗅球の四つの区域
    • 受容体遺伝子の数と糸球体の数
    • フェロモン受容体
    • フェロモン受容体遺伝子のクローニング
  • 第9章 におい受容体の機能解析
    P.181閲覧
    • 嗅神経細胞内の情報伝達経路
    • もう一つの経路
    • OMPという変わりもの
    • 推定上のにおい受容体
    • におい受容体の機能解析の難しさ
    • におい受容体分子の機能的証明 : 17とオクタナール
    • 多数の受容体に対処できる実験系
    • さらなる機能解析
    • 嗅上皮の機能地図
    • 嗅球の機能地図
  • 第10章 におい分子と受容体の相互作用
    P.195閲覧
    • 教科書的な記述と理解は誤解を招く
    • におい分子の存在様式
    • 横方向認識経路の存在
    • におい受容体の存在様式
    • ラフトの存在
    • 受容体に認識された後のにおい分子の行方
    • におい物質結合蛋白質と支持細胞の役割
    • 嗅覚系の感度
    • 嗅神経細胞同士の相互作用
    • もう一つのにおい受容体
    • 何がわかっていて何がわかっていないのか
  • 第11章 嗅覚系の発生過程
    P.209閲覧
    • 嗅上皮と嗅神経細胞の発生過程
    • 発生段階で発現される遺伝子
    • 嗅球の発生過程
    • 出生後の発生と神経活動の関係
    • 嗅覚投射地図の形成に重要な細胞表面分子と細胞外基質分子
    • 嗅神経細胞における投射の問題
    • におい受容体の第二の機能
    • におい受容体の精子での発現
    • におい受容体の心臓・膵臓・脊索での発現
    • におい受容体の大脳での発現
    • 発生機能を持つにおい受容体
    • におい受容体・嗅覚受容体という言葉
    • ショウジョウバエのにおい受容体の発現
  • 第12章 におい受容体の遺伝子発現調節
    P.227閲覧
    • ゲノム全体の遺伝子発現調節
    • オペロン説 : 遺伝子発現調節のパラダイム
    • 多様性を生み出すための免疫グロブリン遺伝子の発現
    • 光受容体遺伝子の発現調節
    • におい受容体遺伝子の発現調節
    • 推測されるにおい受容体遺伝子の発現調節のしくみ
    • エリア・コード仮説
  • 第13章 におい受容体のゲノム生物学
    P.239閲覧
    • ゲノム・プロジェクトの歴史と背景
    • におい受容体のゲノム生物学
    • 線虫のにおい受容体遺伝子
    • 昆虫のにおい受容体
    • 哺乳類のにおい受容体遺伝子
    • 嗅神経細胞からのクローン・マウスが誕生
    • DNA組換え仮説を反証する
    • 第二の論文の意義
    • 動物クローニング技術
    • 遺伝子ターゲッティングを駆使したクローニング
    • クローン・マウスが残したもの
  • 補章1 におい受容体の発見にノーベル賞 !
    P.254閲覧
  • 補章2 さらに知りたい方のために
    P.261閲覧
  • おわりに
    P.265閲覧
  • 出典一覧
    P.266閲覧
  • 奥付

参考文献

補章1 におい受容体の発見にノーベル賞 !

P.261 掲載の参考文献

  • ■『日本味と匂学会誌』 日本味と匂学会
  • ■『におい・かおり環境学会誌』 社団法人におい・かおり環境協会
  • ■『AROMA RESEARCH』 フレグランスジャーナル社
  • ■『アロマテラピー学雑誌』 日本アロマテラピー協会
  • 第1回 「嗅覚系の細胞神経生物」 AROMA RESEARCH 2(1), 34-46(2001)
  • 第2回 「嗅覚系の分子神経解剖学」 AROMA RESEARCH 2(3), 276-286(2001)
  • 第3回 「嗅覚系の機能解析」 AROMA RESEARCH 2(4), 367-371(2001)
  • 第4回 「嗅覚系の発生生物学」 AROMA RESEARCH 3(1), 64-70(2002)
  • 第5回 「ゲノム解析からにおい受容体の全体像へ」 AROMA RESEARCH 3(2), 171-176(2002)
  • 第6回 「Gタンパク質共役受容体としてのにおい受容体」 AROMA RESEARCH 3(4), 365-37(2002)
  • 第7回 「におい受容体遺伝子の発現調節」 AROMA RESEARCH (1) 57-63(2003)
  • 第8回 「感覚受容の分子論理」 AROMA RESEARCH 4(2), 161-168(2003)
  • 第9回 「におい分子とにおい受容体の相互作用」 AROMA RESEARCH 4(3), 257-263(2003)
  • 第10回 「におい受容体の異所的発現」 AROMA RESEARCH 4(4), 73-79(2003)

P.262 掲載の参考文献

  • ■大瀧丈二 「におい受容体の生物学的意義-ノーベル賞受賞研究から観る」 アロマテラピー学雑誌 5, 1-8.
  • ■大瀧丈二 「におい受容体の発見にノーベル賞!」 AROMA RESEARCH 5(4), 308-311(2004)
  • ■大瀧丈二 「嗅覚生物学:哲学的・歴史的展望」 AROMA RESEARCH 6(1), 7-11(2005)
  • ■大瀧丈二 「におい受容のしくみ-嗅上皮から嗅球まで」 におい・かおり環境学会誌 35(4), 170-174(2004)
  • ■大瀧丈二 「嗅神経細胞からのクローン・マウス」 AROMA RESEARCH 5(2), 190-119(2004)
  • ■大瀧丈二 「におい分子とその受容体遺伝子の機能」 AROMA RESEARCH 1(1),60-62. (2000)
  • ■東原和成 「嗅覚受容体のにおい分子認識メカニズム」 AROMA RESEARCH 2(4), 338-349(2001)
  • ■東原和成・大村真代 「嗅覚受容体の構造・機能, 嗅上皮分布」 日本味と匂学会誌 9, 33-41(2002)
  • ■東原和成 「におい受容の分子メカニズム」 生物物理 44, 26-31(2004)
  • ■芹沢尚・宮道和成・坂野仁 「嗅覚系における1神経1受容体ルールを支える分子機構」 細胞工学 23, 460-467(2004)
  • ■坂野仁 「嗅覚系の研究に分子生物学的アプローチを可能にした嗅覚受容体遺伝子の発見」 AROMA RESEARCH 6(1), 2-6(2005)
  • ■『嗅覚生理学-脳から鼻へ香りを感じるしくみ』 倉橋隆 著 フレグランスジャーナル社 2004年
  • ■アロマサイエンスシリーズ21(1) 『においの受容』 渋谷達明・外池光雄 編著 フレグランスジャーナル社 2002年
  • ■アロマサイエンスシリーズ21(2) 『においと脳・行動』 外池光雄・渋谷達明 編著 フレグランスジャーナル社 2002年
  • ■『脳と感覚のしくみ 行動・記憶・心の基盤とその能力』 デボラ・バーンズ・エミリー・ファン 著 田沼靖一監修 ニュートンプレス 2002年
  • ■『味と香りの話』 栗原堅三 著 岩波新書 1998年
  • ■『色とにおいの科学」 パリティ編集委員会 編 丸善 2001年
  • ■「分子がつくる香りの世界』 荻原久大・吉井文子 著 新潟日報事業社 2003年
  • ■『虫たちと不思議なにおいの世界』 玉木佳男 著, 日本植物防疫協会
  • ■アロマサイエンスシリーズ21(6) 『におい物質の特性と分析・評価』 川崎通明・中島基貴・外池光雄 編著 フレグランスジャーナル社 2003年
  • ■『味とにおいの分子認識』 季刊 化学総説 日本化学会 編 学会出版センター 1999年
  • ■『味とにおい 感覚の科学-味覚と嗅覚の22章」 グラハム・ベル, アネスリー・ワトソン編 川口健夫 訳 フレグランスジャーナル社 2002年
  • ■アロマサイエンスシリーズ21(4) 『香りと環境』 谷田貝光克・川崎通明 編著 フレグランスジャーナル社 2003年
  • ■『生き物はどのように世界を見ているか さまざまな視覚とそのメカニズム』 日本動物学会関東支部 編 学会出版センター 2001年
  • ■『鼻のきく人・舌のこえた人 味とにおいの謎を探る』 Karl-Heinz Plattig著 小川尚 訳 学会出版センター 2001年
  • ■『においの謎 嗅覚の世界を探る』 渋谷達明 著 八坂書房 1999年
  • ■『においの帝王 天才科学者ルカ・トゥリンが挑む嗅覚の謎』 チャンドラー・バール著 金子浩 訳 早川書房 2003年