書籍名 |
SNRIのすべて |
出版社 |
先端医学社
|
発行日 |
2002-07-31 |
著者 |
- 上島国利(編集)
- 小山司(編集)
- 樋口輝彦(編集)
|
ISBN |
4884070674 |
ページ数 |
325 |
版刷巻号 |
第1版第1刷 |
分野 |
|
シリーズ |
各薬剤の臨床実践
|
閲覧制限 |
未契約 |
治療薬を日常臨床にいかに応用すべきか、あらゆる角度からその可能性を探り、EBMから治療戦略までも網羅した薬剤の使い方の実践書。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は従来の薬と異なり、抗コリン作用や薬物相互作用などの有害反応が出現せず、安全性が高いことが認められている。本書は臨床医におけるSNRIの正しい評価、適切な使用を目的とし、SNRIの薬理、治療、治療上の注意点、安全性とQOLについて概説しており、うつ病治療に携わる多くの医療関係者に必携の書。
目次
- 表紙
- 序
- 執筆者一覧
- 目次
- 第1章 歴史と変遷
- I. SNRI開発の経緯と臨床への応用
- はじめに
- 1. SNRIが登場する以前の抗うつ薬
- 1) TCA
- 2) 四環系抗うつ薬
- 3) その他
- 4) SSRI
- 5) MAOI
- 2. SSRI以降の抗うつ薬
- 1) NA作動性, 特異的5-HT受容体拮抗薬(noradrenergic and specific serotonergic antidepressant: NaSSA) : mirtazapine
- 2) 選択的NA再取り込み阻害薬(selective noradrenaline reuptake inhibitor: NARI): reboxetine
- 3) 選択的5-HT2受容体拮抗・5-HT再取り込み阻害薬(serotonin2 antagonist/ serotonin reuptake inhibitor: SARI) : nefazodone
- 4) NA・ドパミン再取り込み阻害薬(noradrenaline and dopamine reuptake inhibitor: NDRI) : bupropion
- 3. SNRIの登場
- 1) ミルナシプラン
- A. 海外臨床成績
- a) プラセボとの比較
- b) TCAとの比較
- c) TCA, SSRIとの比較
- d) 重症度別評価
- e) 長期投与
- B. 国内臨床成績
- 2) Venlafaxine
- 3) Duloxetine
- おわりに
- 第2章 薬理編
- I. SNRIの薬理学的プロフィール
- はじめに
- 1. うつ病のモノアミン仮説
- 2. モノアミン再取り込みに対する阻害作用
- 3. 各種受容体に対する遮断作用
- 4. 前頭葉皮質における細胞外DA濃度に及ぼす影響
- 5. 反復投与後のモノアミン受容体に対する作用
- 6. 肝薬物代謝に対する作用
- おわりに
- II. SNRIの抗うつ作用発現メカニズム
- はじめに
- 1. 抗うつ薬の作用機序に関する研究と仮説
- 1) シナプス後部受容体のダウンレギュレーション
- 2) 5-HT1Aセロトニン自己受容体の脱感作
- 3) ノルアドレナリン神経細胞発火への抗うつ薬の効果
- 4) 神経終末自己受容体脱感作
- 2. ノルアドレナリン神経とセロトニン神経との関連
- 3. SNRIの作用機序をめぐる基礎的実験
- 1) SNRIを含む抗うつ薬の脳内モノアミン放出に及ぼす影響
- A. Duloxetine
- B. Venlafaxine
- C. ミルナシプラン
- 2) 前頭前野のモノアミン放出への抗うつ薬の影響
- 3) SNRIのノルアドレナリン神経細胞とセロトニン神経細胞発火に及ぼす影響
- 4) 神経終末自己受容体脱感作とSNRI
- 5) シナプス後部神経細胞への抗うつ薬の効果
- A. SNRI慢性投与のシナプス後部受容体への影響
- B. 細胞内情報伝達への影響
- おわりに
- III. 抗うつ薬の今後の展望について
- 1. 背景
- 2. 従来の抗うつ薬について
- 3. Substance Pの作用について
- 4. Substance P阻害薬とうつ病について
- 5. NMDA受容体を介するシナプス形成のうつ病に対する効果
- 6. NMDA受容体阻害薬の抗うつ効果について
- 7. 可逆的選択的モノアミン酸化酵素阻害薬
- 8. CRF阻害薬について
- おわりに
- IV. SNRIの薬物動態
- はじめに
- 1. Venlafaxine
- 1) 薬物動態
- 2) 用量と臨床効果・有害反応
- 3) 疾患および年齢の影響
- 4) 有害反応に関する最近の報告
- 2. ミルナシプラン
- 1) 薬物動態
- A. 吸収
- B. 体内分布
- C. 代謝・排泄
- D. 用量と臨床効果・有害反応
- 2) 疾患および年齢の影響
- 3. Duloxetine
- おわりに
- 第3章 治療編
- I. 向精神薬におけるSNRIの位置付け
- はじめに
- 1. 向精神薬開発の歴史とSNRI
- 1) TCAからSSRIへ
- 2) SSRIからデュアルアクションの抗うつ薬へ
- 3) SSRIとSNRIの臨床効果
- 2. デュアルアクションの抗うつ薬におけるSNRIの位置付け
- 3. 3つのSNRIのプロフィールの違いとミルナシプランの位置付け
- 1) SNRIの薬理作用の特徴-SSRIとの違い
- A. SNRIの薬理作用の特徴
- B. 受容体阻害がないことによるSNRIのデメリット
- 4. SNRIの作用-デュアルアクションはシングルアクションよりも有効か
- 1) SNRIに期待される効果
- 2) SNRIの効果発現のメカニズム
- 3) SNRIの投与によるノルアドレナリン系の機能変化
- 4) アミンの利用効率の亢進によって起こる変化
- A. シナプス前部と後部のアミンの受容体の変化
- B. 皮質の神経細胞内の情報伝達の持続的な変化
- おわりに
- II. SNRIの効果
- はじめに
- 1. プラセボとの比較試験のまとめ
- 2. 三環系抗うつ薬との比較
- 3. SSRIとの比較
- 4. SNRIにより改善する症状特性
- 5. SSRIとの相違点
- おわりに
- III. SNRIの即効性
- はじめに
- 1. ミルナシプラン
- 1) 海外における試験結果
- A. プラセボとの比較試験
- B. 三環系抗うつ薬との比較試験
- C. SSRIとの比較試験
- 2) 国内における試験結果
- 2. Venlafaxine
- 1) 海外における試験結果
- A. プラセボとの比較試験
- B. TCAとの比較試験
- C. SSRIとの比較試験
- D. 速放製剤と徐放製剤との比較試験
- 2) 国内における試験結果
- 3. Duloxetine
- 4. 即効性の検討に関する問題点
- 5. 即効性の薬理学的背景
- 1) β受容体-AC系の変化
- 2) 5-HT1A受容体の変化
- 3) NA神経系と5-HT神経系との相互作用
- おわりに
- IV. SNRIの再発予防効果
- はじめに
- 1. うつ病の有病率, 経過, 治療
- 2. SNRI
- 1) SNRIの種類
- 2) ミルナシプラン
- 3) Venlafaxine
- 4) Duloxetine
- 5) MCI-225
- 3. うつ病治療における3つの治療期(急性, 持続, 維持)
- 4. うつ病治療における5つの転帰(反応, 寛解, 再燃, 回復, 再発)
- 1) 反応
- 2) 寛解
- 3) 再燃
- 4) 回復
- 5) 再発
- 5. SNRIによる急性期治療
- 6. SNRIによる持続治療
- 7. SNRIによる維持治療
- 8. 再燃・再発の確率と危険因子
- おわりに
- V. SNRIとパニック障害
- はじめに
- 1. パニック障害におけるノルアドレナリン系の機能障害とミルナシプランの作用
- 2. パニック障害における5-HT系の機能障害とミルナシプランの作用
- 3. モノアミン再取り込み阻害薬のパニック障害に対する効果
- 1) 5-HTおよびNA再取り込み阻害薬 イミプラミン
- 2) NA再取り込み阻害薬
- 3) 選択的5-HT再取り込み阻害薬
- 4) 5-HT・NA再取り込み阻害薬
- 4. ミルナシプランはパニック障害に対して効果があるか?
- 5. パニック障害におけるミルナシプランの自験例
- 1) 潜在性の抑うつと軽度の広場恐怖に奏効した症例
- 2) 不安発作が早期に消失した症例
- 6. パニック性不安うつ病に対するミルナシプランの効果
- 7. パニック障害に対するミルナシプランの印象
- VI. 心身症とSNRI
- 1. 心身症の疾患概念
- 2. 原因
- 3. 症状/ 徴候
- 4. 診断
- 5. 検査
- 6. 予後
- 7. 治療方針
- 8. 内科領域におけるうつ病
- 9. SNRI
- 10. 各種心身症の治療におけるSNRIの使用法
- VII. 全般性不安障害とSNRI
- はじめに
- 1. 疫学
- 2. 病因
- 3. 臨床症状と診断
- 4. 治療
- 5. SNRI
- おわりに
- VIII. 血管性うつ病とSNRI
- はじめに
- 1. 血管性うつ病の概念
- 2. 脳卒中後うつ病における病変部位と発症メカニズム
- 3. 血管性うつ病の発症メカニズム
- 4. 血管性うつ病の機能画像所見
- 5. 血管性うつ病の治療
- 1) 脳血管障害に対する治療
- 2) 向精神薬による治療
- 6. 脳卒中後うつ病に対するSNRIミルナシプランの治療効果
- IX. 慢性疼痛とSNRI
- 1. 慢性疼痛の病態と分類
- 2. 痛みを抑える生理機構
- 3. 筋筋膜性疼痛症候群
- 4. SNRIについて
- 5. 慢性疼痛とうつとの関係
- 6. 慢性疼痛の実際
- 1) 慢性頭痛
- 2) 脳卒中後の片麻痺に伴う頚肩腕症候群
- X. 強迫性障害, 社会恐怖およびその他の類縁疾患におけるSNRIの応用可能性
- はじめに
- 1. 強迫性障害に対するSNRIの応用可能性
- 1) クロミプラミンとSSRIの効果は同じ
- 2) SSRIにノルアドレナリン再取り込み阻害薬を追加しても効果増強はない
- 3) 予備的試験からはSNRIも有効らしい
- 4) OCDに関するまとめ
- 2. 社会恐怖に対するSNRIの応用可能性
- 1) MAOIとSSRIは有効である
- 2) クロミプラミンとSNRIもおそらく有効である
- 3. PTSDに対するSNRIの応用可能性
- 4. OCSDに対するSNRIの応用可能性
- 第4章 治療上の注意点
- I. SNRIの投与量, 投与期間の原則と大量服薬時の対処方法
- はじめに
- 1. ミルナシプラン
- 1) 成人に対する初期投与量
- 2) 成人に対する至適投与量
- 3) 症例呈示
- 4) 成人に対する適切な投与期間
- 5) 高齢者に対する至適投与量と投与期間
- 6) 大量服薬時の対処方法
- 2. Venlafaxine
- 1) 成人患者に対する投与量・投与期間
- 2) 肝障害・腎障害を合併した患者に対する投与量
- 3) 老年期うつ病患者に対する投与量
- 4) 大量服薬時の対処
- おわりに
- II. SNRIの長期持続療法におけるインフォームド・コンセント
- 1. インフォームド・コンセントについて
- 2. 精神科外来治療でのインフォームド・コンセント(インフォームド・コンセント)
- 3. 一般的な抗うつ薬のインフォームド・コンセント
- 4. 長期投与でのインフォームド・コンセントに関して
- 5. 実際のインフォームド・コンセント(ミルナシプランの処方時の例)
- 1) うつ病とは?
- 2) うつ病の症状
- 3) うつ病の治療
- 4) 薬物療法について
- 5) 服薬量と服薬時期
- 6) 効果とその発現時間
- 7) 副作用
- 8) 副作用対策
- A. 喉の渇き
- B. 悪心・嘔吐
- C. 便秘
- D. 眠気
- E. かすみ目
- F. 排尿障害
- G. 立ちくらみ
- H. その他
- 9) 他剤との相互作用
- III. SNRIの副作用とその特性
- はじめに
- 1. SNRIのモノアミン再取り込み阻害能と副作用プロフィール
- 2. ミルナシプラン(トレドミン(R))
- 1) わが国でおこなわれた臨床試験の成績からみた副作用の特徴
- 2) 海外における副作用報告
- A. TCA・SSRIとの比較
- B. 他のSNRIとの比較
- 3) ミルナシプランの副作用の特徴
- 3. Venlafaxine(本邦未発売)
- 4. Duloxetine(本邦未発売)
- 5. 種々の副作用とその対策
- 1) 心血管系・自律神経系への影響
- 2) 中枢神経系に対する影響
- 3) 消化器系への影響
- 4) 体重増加
- 5) 性機能への影響
- 6) 離脱症状
- 7) 過量服薬における安全性
- おわりに
- IV. SNRIの薬物相互作用
- はじめに
- 1. ミルナシプラン
- 2. Venlafaxine
- おわりに
- V. 他剤からSNRIへの切り換え
- はじめに
- 1. ミルナシプランと他剤の比較
- 1) ミルナシプランとTCAの比較
- 2) ミルナシプランとSSRIの比較
- 3) 小括
- 2. 症例
- 1) 症例1. パロキセチンからミルナシプランへの切り換え例
- 2) 症例2. スルピリドからミルナシプランへの切り換え例
- 3) 症例3. クロミプラミンからミルナシプランへの切り換え例
- 4) 症例4. アミトリプチリンからミルナシプランへの切り換え例
- 3. 考察
- 第5章 安全性とQOL
- I. SNRIのQOLに果たす役割
- はじめに
- 1. QOL評価が重要視されるようになった背景
- 2. うつ病のアウトカムとQOL
- 1) Sickness Impact Profile(SIP), Depression Impact Profile(DIP)
- 2) SmithKline Beecham' quality of life' scale(SBQOL)
- 3) Sertraline quality of life battery(SQOL)
- 4) General Health Questionnaire(GHQ)
- 5) MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36), SF-20
- 6) General Life Functioning(GLF)
- 7) Activities Questionnaire(AQ)
- 8) 15D
- 3. SNRIがQOLに与える効果
- 1) Health-related QOLに与える効果
- 2) Cost-effectiveness
- おわりに
- II. SNRIと服薬コンプライアンス向上の工夫
- 1. 抗うつ薬の服薬コンプライアンス
- 1) 服薬コンプライアンスの重要性
- 2) 抗うつ薬治療における服薬コンプライアンスの現状とその要因
- 2. SNRIと服薬コンプライアンス向上の工夫
- 1) 患者教育・服薬指導における配慮
- 2) 服薬方法の簡素化
- 3) 副作用の軽減化
- III. うつ病の自殺予防とSNRI
- はじめに
- 1. うつ病の病像
- 2. 病気の段階
- 3. 希死念慮, 自殺未遂, 自殺の家族歴
- 4. 飲酒との関係
- 5. 事故傾性
- 6. 拡大自殺の危険
- 7. 抗うつ薬と自殺企図
- 8. 治療の原則
- おわりに
- IV. SNRIと高齢者への安全性
- はじめに
- 1. 高齢者のうつ病治療の特徴とSNRI
- 1) 薬剤の安全性: 抗コリン作用
- 2) 薬剤の安全性: その他の副作用
- 3) 至適用量
- 4) 薬物相互作用
- 5) 長期投与の安全性
- 6) 認知機能への影響
- 7) 自殺企図・希死念慮に対する配慮
- 2. 高齢者におけるSNRIと他の抗うつ薬の安全性比較
- 3. 症例
- 1) ミルナシプランの高い有用性を認めた症例
- 2) 自殺企図のため入院となった症例
- 3) 副作用(嘔気, 食欲低下, 排尿困難) にてミルナシプランを中止した症例
- 4) 副作用を認めたが, ミルナシプランによる治療を継続した例
- 5) 抗うつ薬の頻回な変更を余儀なくされた症例
- おわりに
- 索引
- 奥付
参考文献
第1章 歴史と変遷
P.17 掲載の参考文献
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2) Murray CJL, Lopez AD (Eds):The global burden of disease:A comprehensive assessment of mortality and disability from diseases, Injuries and risk factors in 1990 and projected to 2020. Harvard Univ Press 1996
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第2章 薬理編
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3) 小山 司:感情障害の精神薬理学的研究. 精神薬療基金研究年報 30:48-53, 1997
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11) 小山 司, 傳田健三:強迫性障害の薬物療法. 臨床精神医学 22:1139-1147, 1993
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15) 小山 司:SSRIの精神薬理特性-三環系抗うつ薬との比較を中心として. 脳と精神の医学 7:67-72, 1996
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